Windows10 on ARMのインストール【成功しましたが簡単ではありません。】
ARM版のWindows10をラズパイで動かすというプロジェクト(WoA-Installer-Rpi)が公開されました。一応、動いたので手順を残しておきます。「誰でも簡単なインストールができる」ということだったのですが、、、そんなことはないのでしっかり調べてからやりましたがそれでも失敗を繰り返しました。そして進行中のプロジェクトなのでバグも含んでいます。挑戦するのであれば、最新情報を調査してからやりましょう。
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入れてみた感想
インストールは時間がかかります。
媒体作成やインストールなど、非常に時間がかかります。半日以上はかかるので覚悟しましょう。私の場合は失敗を繰り返しながら12時間ぐらいかかりました。
重い
期待している方もいらっしゃるかもしれませんがとりあえず動くといった感じです。実用的ではありません。
動くアプリは32bitのみ(x86)
エミュレータで動作しているので動くアプリケーションはx86のみです。64bitアプリは動きません。
でも、ちゃんと動く
重いのですが、ちゃんとしたWindows10です。
注意事項
オープンソースプロジェクトでMicrosoftの公式サポートはありません。実行した環境やデータの保証は一切されません。リスクがあることを認識して作業を進めましょう。(母艦PCの環境にも不具合が起きる可能性があります。)
当ブログでも何が起きても責任は取れませんので、あらかじめご了承ください。進行中のプロジェクトのため手順が変わる場合がありそうです。この記事の情報が古い場合もあるので最新情報が欲しい方はGitHubのプロジェクトをWatchした方が早いです。
2019/2/14追記
2019/2/14に確認した限りでは、Windows10のインストール媒体でVersion 1803(Build 17134)以外を選択するとセットアップの途中でブルースクリーンとなり動きません。 注意してください。(2/24削除)
2019/2/19追記
Githubのリポジトリが変わりました。新しい方はhttps://github.com/WOA-Project/WOA-Deployer-Rpiです。
2019/2/22追記
Ver.2.0.0以降では、ウィルス対策ソフトを実行していると、書き込み中に突然Windowが閉じて止まってしまうことがあります。ウィルス対策ソフトは停止して作業しましょう。(私の場合はカスペルスキーです。)
2019/2/24追記
Version1809の媒体を選んでしまうと、インストール中にブルースクリーンになる報告が多数上がっています。Version1803(Build 17134)とInsiderBuild 18836でインストールできました。
必要なもの
RaspberryPi 3Bか3B+
私の場合は3B+で動作確認を行いました。電源が足りないとインストールできないという方もいらっしゃるようなので電源は推奨のものを用意しましょう。
Windowsが動く環境
microSDを作成するインストーラーはWindows上でしか動きません。
USBキーボードとUSBマウス
インストール中に操作が必要なのでUSB接続のキーボード及びマウスが必要です。
microSDカード
パフォーマンスは使用するmicroSDカードの速度に依存します。32GB、A1クラス以上のものが推奨のようです。
16GBだとインストールはできるのですが、すぐに領域不足のエラーが出るようになります。
有線LAN
2019/2/16時点で調べたところWifiには対応していません。ネットワークを利用するためには有線LANが必要です。
Windows10のライセンス
動かしてみるとライセンス認証はされているようなのですが、継続して使用する場合は正式なWindows10のライセンスキーが必要だと思われます。(※ARM版のライセンスをどのようにして購入するかは不明です。ドキュメントを色々読んだのですが書かれた部分を見つけることができませんでした。)必要な場合は自分で調べましょう。
2019/2/26 追記
色々調べましたが、現在ラズパイ上で動かせるWindows10の正式ライセンスは無いようです。しかし、このプロジェクトが発展すれば、ラズパイ上でWindows10が正式に動く日が実現するかもしれません。
現状動かす場合は評価ライセンスで動かすということになるのでその点は注意しましょう。
Githubのリンク
https://github.com/WOA-Project/WOA-Deployer-Rpi
(旧)https://github.com/WOA-Project/WoA-Installer-Rpi
README.mdは英語ですがよく読んでおきましょう。README.mdの中で寄付(Donations)も募っています。
インストール手順
【注意事項】createingISO_…cmdのダウンロード
ウィルスソフトの制限で実行に失敗、あるいは管理者権限無しで実行すると、実行したフォルダの中身が消える恐れがあります。というか消えました。( ノД`)←
実行する前に、作業フォルダを作成しそちらにダウンロードするようにしましょう。
仮想ディスク(VHDXファイル)を作成・マウントしてそこに作業フォルダを設定する方法がいいとコメントを頂きました。何かあってもすぐに消せるので便利だと思います。(createISO…cmdファイルはルートには置かず必ず作業フォルダを作成する必要があるようです。)
用意するもの
- WoA Installer(README.mdのリンクから)
Core Package(README.mdのリンクから)- install.wim(こちらのドキュメントを参照)
※私はCore Package 1.3.0(with MCCI’s USB).zipを使いました。WoA Ver.2よりCore Packageは不要になりました。(自動でダウンロードするようです。)
【補足①】install.wimの準備
install.vimを用意するにはISOを作成して、ISOファイルからinstall.wimというファイルをコピーします。メディアは以下のように選択しましょう。
- Windows(Final version)
- Feature update to Windows10, version 1803 [arm64]
- ja-jp: Japanese
- Select Edition (持っているライセンスを選択)
- Download ISO compiler in OneClick!(run downloaded CMD-file)
ダウンロードした「creatingISO_1734…cmd」というファイルを任意の作業フォルダにコピーしてから管理者権限で実行します。
microSDカードの作成
WoA-Installer(Installer.Raspberry.Application.exe)を起動して画面の指示に従ってCore Packageとinstall.wimを選択して書き込みます。
①免責事項と利用規約
下記のような内容が書かれているので、よく理解したうえで実行しましょう。
免責事項と利用規約
・このツールは無保証です。
・作者はあなたのPCまたはあなたのデータ(ディスクドライブ)にそれが引き起こすかもしれないどんな損害に対しても責任を負うことができません。
・ターゲットドライブを慎重に選択してください。 誤って最悪のドライブを選択した場合、あなたは潜在的にあなたのPC /他の接続されたドライブのデータを失う可能性があります。
・このツールはRaspberryp Pi 3のみの使用を目的としています
②初期画面
Ver.1.0.0の場合
書き込むUSBカードリーダーと用意したinstall.wimファイルを選択し、グレーの「Advanced」をクリックします。
Ver.2.0.0の場合は書き込むドライブとinstall.wimを選択してDeployを押すだけです。
Deployの後に、ライセンス同意画面が出ます。よく読んでからAcceptを押しましょう。
③Advancedの画面(※Ver.2.0.0では不要な手順)
「Import Core Package」をクリックして用意したCore PackageのZipファイルを選択します。
④Windows Deployment(※Ver.2.0.0では不要)
「Windows Deployment」をクリックして、「Deploy」を押します。書き込みには時間がかかります。
起動
microSDに書き込みが完了したら、ラズパイにmicroSDをセットして起動します。
最初の起動時にはshellが起動するので以下の手順でインストーラーを起動します。
- exit<Enter>
- UEFI画面が表示されるので下記の順番で選択すると起動します。
- Boot Manager
- SD/MMC on Broadcom SDHOST
Windows10のセットアップ
インストーラーが起動するので、画面の指示に従って初期設定を行うとWindowsが起動します。(作業時間は環境によって1~2時間かかります。)
確認
システムのプロパティを開くと下記のようにARMv8で動作していることを確認できます。
UEFIの設定変更
①ブート順の変更
「Boot Maintenance Manager」→「Boot Option」→「Change Boot Order」を開き
Change the orderの項目を選択して<Enter>を押します。その後+か-キーを使って<SD/MMC on Broadcom SDHOST>を一番上にします。
②次のブートメディアの変更
このままだと、起動するたびにShell画面が表示されてしまうのでUEFIの設定を変更します。
「Boot Maintenance Manager」→「Boot Next File」の値をNoneから「SD/MMC on Broadcom SDHOST」へ変更します。
※変更後はF10を押して設定を保存します。
気になる点
動かして気になった点をあげていきます。
CPUが600MHz
タスクマネージャーを見るとCPUは600MHzのままです。UEFIで設定を変えようとしても<Don’t Override>と書いてあります。Maxには変えられるようですが、常時1.4GHz(3B+の場合、3Bは1.2GHz)に張り付くので冷却はしっかり行いましょう。
USBブートはできない(2019/2/22にできました。)
2019/2/16現在はUSBからのBootは対応していないようです。
参考:https://discourse.pi64.win/t/can-we-boot-from-a-usb-hdd/89
Twitterの情報ではUSB接続のSSDからブートした方も海外にいらっしゃるようです。
2019/2/22追記
上級者向けですが、手順が分かりました。こちらの記事ラズパイでWindows10 on ARMを動かす(上級者向けUSBブート編)を見てください。
困ったときに
私が遭遇した不具合をまとめてみました。フォルダが消えない場合に参考にしてください。
ラズパイへWindows10 on ARMを入れるときのトラブルや対処方法関連リンク
●WoA-Deployer-Rpi関連
https://github.com/WOA-Project/WOA-Deployer-Rpi
(旧)https://github.com/WOA-Project/WoA-Installer-Rpi
https://pi64.win/
https://discourse.pi64.win/
●Twitterで@osakanataro2さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。
ラズパイ3でWindows 10 on ARMが簡単に動くという記事に騙されてはいけない
ドライバの対応状況
下記のリンクから確認できます。2019/2/17時点でWifiは未対応のようです。
Status of the ARM64 device drivers
少しでも速度を上げたい時には
速いmicroSDカードを使う
ストレージの速さにも関係するので試したい方はSandiskExtremePROを試してみましょう。私は少し速くなった気がしています。時間ができたらWindows10 on ARM上でBenchmarkしようと思っています。ラズパイはUHS-I対応やA1対応じゃないという方もいらっしゃると思いますが、シーケンシャルの速さは規格の上限までしか行きませんが、ランダム読み書き性能が良いので体感速度は上がります。
UEFIの設定でCPU(SoC)周波数を上げる。
その際、CPU(SoC)は常に発熱するので冷却が不十分だと、パフォーマンスが上がらない場合やCPU(SoC)が壊れる可能性もあります。以下の記事を参考にしてみてください。
RaspberryPi3B+は熱対策した方がパフォーマンスが上がる。 RaspberryPi 3 Model B+ を効果的に冷やせるケース【静音】動作させている様子
Windows10 Proでインストールが全て完了しチューニングをするとこのぐらいの速度で動きます。(microSDは Sandisk Extreme PRO A2 64GBを使用)
おわりに
現在のラズパイのスペックでは実用的な速度ではありませんが、ARMのラズパイでもWindowsが動作するということでRaspberryPiの世界もまた広がりそうな予感がします。