M5Stack製品の始め方【2022/2月版】

 この記事の初出は2021年1月です。私がM5Stackと出会ってから早2年が経ちました。M5Stack製品は新製品が多く正確な数はM5Stackの中の人でも把握しているとかいないとか、、、どれを買っていいか迷う人もいるので用途別に絞っておススメ製品を紹介します。

 これからM5Stackを始めようとする方に参考になれば幸いです。

 2022/2の情報にて更新しました。M5Stack沼に浸かって早3年、半導体不足も絡まり値上がりもしましたし様相が徐々に変わってきました。

 もくじ(Index)

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M5Stackの購入方法

 Twitterでもスイッチサイエンスに無いと「買えない」という方が多いですがスイッチサイエンス以外でも国内で買える場所はあります。下記の記事にまとめてありますので見てください。記事にも書いてありますが、保証をあまり気にしない・急がない場合は海外からの個人輸入という手もあります。(コロナウィルスの影響で1~3ヵ月ぐらい待つこともありますが、、、)

 とはいっても、在庫なしが長く続くこともあるので国内で買いたい場合はスイッチサイエンスの入荷通知は忘れずにしておきましょう。(最近では入荷通知が届いてもすぐに売り切れになる場合もあるそうで、届いたらなるべく早く購入したほうが良いです。)

M5Stack、M5StickC、M5StickV、M5Atom、M5Paper、M5CoreInkなどM5Stack製品の買い方

用途別おススメな機種(2022/2現在)

初心者向け

 何を買ったらいいか分からないという方やとりあえずM5Stackというものに触れてみたいという、初心者におススメするのはM5Stack Core2とM5StickC Plusです。

  • M5Stack Core2 IoT開発キット(Switch-Science)
    320×240のタッチパネル付き液晶を搭載したESP32のデバイスです。マイク・WiFi・Bluetooth・MPU6886・スピーカー・バイブレーションモーター等機能が豊富です。
  • M5Stack Core2 for AWS – ESP32 IoT開発キット(Switch-Science)
    Core2をベースに、ATECC608A Trust&GOセキュアエレメントを搭載したM5GoBottom2を備えています。AmazonWebServiceIoTのリファレンスモデルです。AWS専用と思われがちですが、個人的には一番使いやすいM5Stackです。値段は高いですが装備を考えるとお得です。
  • M5StickC Plus(Switch-Science)
    135×240の液晶、ブザー、赤外線LED、赤色LED、マイク、RTC、MPU6886を搭載したM5StickCの後継品です。

おススメする理由

  • M5StackとM5StickCの後継品なので情報が多く、ほぼそのまま流用できる。
    (「ほぼ」ですのでアレンジが必要で、罠も多いです。)
  • 電源が切れる。
    この機能があるので電池が膨らんだり劣化が早くなるリスクが減ります。
    (★バッテリー製品全般に言えることですがリスクはゼロではありません。)
  • 元となっているM5StackとM5StickCのライブラリが成熟しているので不具合が少ない

一緒に買うといいもの

Lチカを勉強したい時は3のセットが安いのでおススメです。2があればM5Stack Core2との接続が分かりやすいのですが、売り切れが多い模様です。。。

  1. M5Stack用BUSモジュール(Switch-Science)
    下記のGrove-ジャンパオスが無い場合にM5StackからGPIOを取り出したい時に使えます。(要:簡単な半田付け)
    ★注意★基板に書いてあるのは旧CoreのM-BUS端子なので間違えないように注意
  2. GROVE – 4ピン – ジャンパオスケーブル(5本セット)(Switch-Science)
    Grove互換端子をブレッドボードに接続したい場合に必要です。
  3. ブレッドボードやLED等が詰まった電子工作入門セット(Amazon)

電子工作したい(Lチカしたい)

 M5Stack BasicかM5Stack Gray、M5StickC、M5StickC Plusをおススメします。入手が容易なジャンパーワイヤー(デュポンケーブル)をそのまま接続できるので簡単です。(下記の写真にあるように端子が出ています。)

 ※以前はGrayをおススメしていたのですが、仕様変更の結果はBasicとGrayの差は加速度センサーぐらいしか違いが無くなりました。(M5Stackの傾きを検出して遊びたい時にはGrayやM5StickC Plusを選んでください。)

一緒に買うといいもの

AIでなにかを検出して遊びたい

 2022/2月現在、UnitV2という新しい製品が発売されています。こちらはLinuxベースでArmプロセッサを搭載しています。WiFiも使用可能でWebアプリから操作する形で使います。すぐに使える機能が満載です。

 M5StickVはBrownieという@ksasaoさんが公開しているソフトを使うと簡単に物体の検出を行うことができます。

 ただし、そこから先へ進むためには壁が多くなにも知らない初心者にはおススメしません。(←個人の感想です。)使いこなすにはPythonとC++のソースを読む知識が必要です。でも、可能性は高く使いこなせたら便利です。自分自身では今後も勉強して使いこなしたいデバイスです。

 M5StickVとUnitVはESP32ではなくK210というRISC-VのCPUを使っています。

AI関連の製品

 

  • UnitV2(Switch-Science)
    カメラ、マイク搭載のエッジAI製品です。WiFi通信も可能。プリインストールアプリが使いやすく、JupitorNotebookでPythonを使ったプログラムの実行も可能です。AIを体験するにはもってこいです。
    カメラのないUSB版高画質のM12版があります。USB版はHDMIアダプタやUSBカメラ等幅広い入力機器を扱えます。
  • M5StickV(マイク搭載版)(Switch-Science)
    カメラ、液晶、バッテリー、マイク、スピーカーがある単体で利用できるエッジAI製品。
    ※ 通信機能はないので連携が必要。マイクは搭載していない古いバージョンも存在します。
  • UnitV(Switch-Science)
    M5StickVから液晶とバッテリー、マイク、スピーカーを取り去った製品。Unitとして他の製品と組み合わせて利用します。

省電力で長くバッテリーで動作させたい

 eInkの液晶パネルを搭載し省電力に特化したM5Paper,M5CoreInkがおススメです。

※ eInkディスプレイは紫外線に弱いそうで屋外で長時間利用する用途には適しません。またリフレッシュレートも15秒と遅めなので頻繁に画面を書き換える用途にも向いていません。

画面やバッテリーは不要な場合

 M5AtomLite、Matrix、Atom Uがおススメです。私はM5Stack系で開発して、実運用はM5AtomLiteというケースが多いです。

  • M5AtomLite(Switch-Science)
    RGBLEDを1つ、ボタンも1つ。一番シンプルなM5Atomです。
  • M5AtomMatrix(Switch-Science)
    RGBLEDを5×5搭載し、MPU6886も搭載しています。使用可能なGPIOはLiteよりもI2Cで使う分少ないです。
  • Atom U(Switch-Science)
    USB-A端子が付いたコンパクトなタイプ。ケーブル不要なので開発しやすいです。
M5AtomLite、Matrix
Atom U

自作基板に組み込みたい(画面もバッテリーも不要)

 Stampシリーズが出ました。詳しい内容は私も把握しきれていません。

  • M5Stamp Pico Mate(Switch-Science)
    ESP32 Picoを搭載した切手サイズのデバイスです。
  • M5Stamp C3 Mate(Switch-Science)
    ESP32ではなくRISC-V MCU搭載のデバイスです。シングルコア。
  • M5Stamp C3U Mate(Switch-Science)
    C3MateはCH9102というUSB-TTL変換チップを介していますが、こちらはMCUに搭載されているUSBとの接続機能を利用しています。

カメラを使いたい

 M5Stack製品はカメラのラインナップも豊富です。

  • ESP32 PSRAM Timer Camera X (OV3660)(Switch-Science)
    ESP32、バッテリーを内蔵したカメラ。液晶はないですが単体で動く。
  • ESP32 PSRAM Timer Camera F (OV3660)(Switch-Science)
    TimerCameraの魚眼レンズ版(視野角120°)
  • M5Stack PoEカメラ(Wi-Fiなし、OV2640搭載)(Switch-Science)
    有線LANで接続するタイプのカメラです。PoEでLANケーブルから給電も可能。ESP32搭載ですがアンテナが無くWiFi機能はありません。
  • UnitV2(Switch-Science)
    SSD202Dを搭載しWiFi機能付きのAIカメラ。マイクもあります。
  • UnitV2 M12版(Switch-Science)
    SSD202Dを搭載しWiFi機能付きのM12マウントがあり画質が良くなっています。AIカメラ。マイクもあります。
  • M5StickV(Switch-Science)
    K210内蔵のAI端末。カメラ、液晶、マイク、スピーカー、バッテリー搭載。通信機能はなし
  • UnitV(Switch-Science)
    K210内蔵のAI端末。カメラのみ。通信機能はなし。
左からTimerCameraX、M5StickV、UnitV
UnitV2とUnitV2 USB版

マイクを使ったり音声・音楽を鳴らしたい。

 音声を録音したり、スピーカーで音を鳴らしたい場合はM5Stack Core2、M5Atom Echo、M5StickVがおススメです。

  • M5Stack Core2 IoT開発キット(Switch-Science)
    ESP32搭載、液晶、バッテリーが必要な場合はCore2
  • ATOM Echo – スマートスピーカー開発キット(Switch-Science)
    ESP32-Pico搭載、スピーカーとマイクだけ使えれば良いという方向け
  • ATOM スピーカーキット(Switch-Science)
    ESP32-Pico搭載、マイクはありません。スピーカーを変えたり、3.5mmジャックで外付けスピーカーを利用できるので、音質を少しでも良くしたい用途に向いています。スピーカー次第で音楽の再生も可能です。
  • M5StickV(Switch-Science)
    K210搭載、液晶、バッテリー搭載。AIで処理したい場合はこちらです。
左からM5StickV、M5Core2、M5AtomEcho

関連リンク

 M5Stack製品は小型なのでスピーカーの定格は1Wぐらいのものが多く、間違えると熱を持ち本体が溶けます。下記のリンクはM5AtomEchoのものですがくれぐれもホワイトノイズを長く鳴らし続けるのは止めましょう。あと、大音量で音楽を流し続ける用途にも向きません。

 ※Atom スピーカーキットは適切なスピーカーに変更すれば、音楽再生の用途にも使えると思います。

Unit製品(センサーやボタン等)

 M5Stackというと本体の話題が多いのですが、実は各種センサーやボタン、ジョイスティックといったUnitという拡張製品もケースに入っており、すぐに使いこなせるのがポイントです。こちらはラズパイや他社のIoT製品とも接続が可能です。

 数が多いので、詳しくは別記事で公開していこうと思います。

開発環境の種類

UIFlow

 ブラウザ上でブロックエディタを使いプログラミングしていきます。ベースはMicroPythonでプログラミングが苦手という方もデビューしやすい環境です。

UIFlowを始める時に便利なリンク

 

Arduino-esp32

 こちらはC++で、Arduinoと同じようにプログラミングしていきます。初心者にはArduinoIDEが分かりやすいと思います。PlatformIOにボードがあるのでVisualStudioCode+PlatformIOでも開発が可能です。

ArduinoIDEを始める時に便利なリンク

 

JavaScript(obnizOS)

M5Stack BasicやM5StickCにobnizOSを入れてブラウザからJavaScriptを使っても開発ができます。月1台までなら無料で利用できます。(それ以上は1デバイス¥150/月)

obnizOSで始める時に便利なリンク

MicroPython

 こちらは自分は詳しくないのですが、UIFlowではなくMicroPythonで直接開発もできるようです。

MicroPythonで始める時に便利なリンク

MaixPyIDE(M5StickV、UnitV)

 M5StickVとUnitVはMicroPythonの専用開発環境MaixPyIDEを使います。

MaixPyで始める時に便利なリンク

Maixduino(M5StickV,UnitV)

 ArduinoIDEのK210用の開発環境です。検索してもドキュメントはあまりないのですがArduinoIDEで利用している方もいらっしゃるようです。Sipeed製品向けに作られているので、実際にM5StickV、UnitVで動くかは分かりません。

Maixduinoのリポジトリ

M5Stack 旧CoreやM5StickCを買う方へ

 M5Stack Core2とM5StickCPlusをおススメしましたが、売れ筋なので売り切れも多いです。M5Stack Basic(¥3,575)はM5StackCore2(¥5,225)から比べると値段も安いので、まずはそこからという感じで購入する方も多いですが、下記の点に注意しましょう。

長期間使わない時は注意

 M5Stackの旧CoreとM5StickCは電源が完全に切れません。そのため放置すると過放電になりやすく、バッテリーの劣化が早く「膨らんだ」というツイートをよく見ます。長期間利用しない場合は必ず一旦充電してから、そしてM5Stackの場合はボトムを外しましょう。(下記の写真のようにボトムにバッテリーが入っています。)M5StickCは取り外せませんがバッテリー保護が働くようです。(その代わり簡単に起動できなくなる。)

 こちらの問題はM5Stackの設計を根本から変えなければならず現行モデルでは対処できないようです。(対応されて発売されたのがM5Stack Core2となります。)

 バッテリーは取り扱いを間違えると火災事故が起きやすいので保管時は十分注意しましょう。

M5Stack 旧Coreの電源問題を解決できるPowerSwitch for M5Stack

 M5Stackの場合は、下記のPowerSwitch for M5Stackとケースを付ければ電源を完全に切ることが可能です。(私はほぼすべての旧Core製品に装備しています。)同人ハードで数が少ないため売り切れも多いですが、入荷通知を設定して需要が多ければきっと、、、

M5Stackの関連書籍

M5Stack製品にデビューする時に注意すること

 ケースが付いているので油断しがちなのですが、基本は電子工作です。その点は忘れないようにしましょう。端子を間違えて接続すれば簡単に壊れるし、発火することもあります。

電子工作のことを知りたい時に読む本

 M5Stackではないですが、私が理解しやすかった書籍を紹介します。

電子部品ごとの制御を学べる!Arduino 電子工作 実践講座 改訂第2版

おわりに

 私自身はTwitterでM5Stackを知り、3年前にM5Stack Grayを購入して以来毎日楽しく過ごしています。

 使いこなすまでは大変だったり、危ないこともありますが、色々なことができるようになり無限の楽しさが拡がっていきます。気になった方は是非使ってみましょう。

 M5Stack製品の購入方法は下記の記事を見てください。

M5Stack、M5StickC、M5StickV、M5Atom、M5Paper、M5CoreInkなどM5Stack製品の買い方

更新履歴

  • 2022/2/3  最新情報にて更新
  • 2021/1/28  新規作成

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